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未来のモビリティの可能性

Hello from DLX


少しずつ日常も取り戻されつつありますが、いかがお過ごしでしょうか。みなさまが健康でお過ごしであることを祈っております。

私たち価値創造デザイン推進基盤(DLX)は、デザインを通じて価値を創造する、東京大学生産技術研究所に設置された研究機関施設です。学内の活動だけでなく、さまざまな分野の皆さまとも繋がり、より開かれた研究プラットフォームを目指しています。

今回から、ニュースレターをコンソーシアム会員の方へお届けしたいと思います。DLX内の活動に留まらず、研究の最新・最先端の情報をお届けし、皆さまとよりよいコラボレーションをし、イノベーションをつくり出したいと願っています。




未来のモビリティの可能性


街に人も戻り、また通勤を始めた方も少なくないでしょう。公共交通機関もほとんど以前と変わらずに動いていますが、こんなときふと、もしタクシーやバスの自動運転化が進んでいたら、世の中はどうなっていたのだろう?と想像します。窓を開けて換気してくれたり、乗客とコミュニケーションを取ってくれたりする存在がいなかったら?そんな少し未来を想像するプロジェクトが、DLXではいま進行中です。今回は、モビリティに関するプロジェクトのいまの進捗状況を共有します。






モビリティ研究の最先端・UTmobi

東京大学の柏キャンパスには、シャトルバスが走っているのをご存知でしょうか。柏の葉キャンパス駅とキャンパスを結ぶもので、人々の移動手段としても使われていますが、同時に東京大学モビリティ・イノベーション連携研究機構(UTmobi)というグループの研究成果でもあり、一部ではすでに、自動運転での走行が始まっています。

UTmobiは、東京大学全体で取り組んでいる交通に関する研究組織です。機械工学、情報通信、交通工学など、さまざまな分野の研究者がともに、自動運転やヒューマンインタフェースを含めた、多岐にわたる課題に取り組んでいます。

ヒューマンインタフェースとは、簡単にいえば、機械と人間との間でよい関係を築くための仕組みのこと。人間工学的な使いやすさは大事な要素ですが、実は、人々がしっかり安心感を持てるとか、機械を信頼できるなど、そのような感性的な側面の解決も重要です。そこで、私たちDLXはUTmobiとのプロジェクトを今年1月にスタートしました。

DLXが東京大学の研究室とプロジェクトを始めるとき、まず取り組むのは「トレジャーハンティング」という活動です。研究室を訪問し、研究者たちとディスカッションをして、デザインとの融合で未来を面白くできそうなアイデアを見つけ出します。それはまさに、宝探し。今回のプロジェクトではさらに密接に研究室と取り組むために「ディープトレジャーハンティング」と名付けて、現在まで何度も議論を繰り返しています。





「車のデザイン」が、はじまる

DLX Design Labの卒業生であり、今回のプロジェクトにニューヨークから参加しているCharlotte Furet は「初めてUTmobiのチームと話をしたときは、やはり車体の外観のデザインに関わると思われました。でも、私たちが取り組もうとしていたのは、もっと大きな枠組み。モビリティの研究のビジョンやストーリー、ユーザー体験などをデザインのプロとして、どのようにもたらすことができるかを示したかったんです」と振り返ります。

UTmobiの研究者たちとDLXのメンバーに加え、1月にはイスラエルからベツァルエル美術デザイン学院のチームを招いて「Mobility Nano Lab」と題したワークショップも開催しました。同学院で教鞭をとるRomi Mikulinsky氏とRonel Mor氏とともに、3人の学生メンバーがイスラエルから来日。1週間という短期間ではありましたが、さまざまなアイデアが飛び交いました。

ワークショップに参加して、Romi氏はこう話します。「今回のプロジェクトは、複数の国の人間が一緒にモビリティの将来について考える、クロスカルチャーな取り組みでもあります。直感的で、言語の壁を飛び越えたものでないといけません。私たちイスラエル人が、日本について驚くことは、敬意と秩序です。例えば、日本の駅や飛行場に行くと、そこで働く人たちは、電車や飛行機にお辞儀をします。また、どこにいても人々はきちんと列に並びますよね。ものすごく混んでいる空間ですら、パーソナルスペースに対する配慮があります。これはイスラエルとは大きく違うところです」。

ワークショップでは、クリエイティブブレインストーミングと呼ばれる手法の一つを取りました。「素早くスケッチをし、良い悪い関わらず、さまざまなアイデアを100枚近い紙に書き連ねて、壁に貼っていきました。このプロセスの面白い点は、一つのアイデアがより多くのアイデア分岐するところです」と、そのときの様子をRonel氏は話します。





運転手の役割は、運転だけじゃない

1週間のワークショップでまとまったアイデアは、公共交通機関としてのバスが自動運転になり、無人化した場合のコミュニケーションに焦点を当てたもの。現在の運転手の役割は、運転だけではありません。乗降時に乗客とコミュニケーションを取ったり、歩行者や自転車に注意を払ったりと、さまざまな仕事をこなしています。その役目の人がいなくなった場合の、ヒューマンインタフェースを考えました。

特に注目したのは、運転手と乗客との小さなコミュニケーションです。例えば、バスに乗るタイミングで運賃を支払ったり、会釈をしたり、というやり取りで、人々は公共交通機関を用いる自覚を得ます。その感覚を無人バスに持ち込むとどうなるでしょう?





バスの車体と会話する

今回のワークショップで生まれたアイデアは、車体と人々との物理的なインタラクションを与えるものでした。例えば、バスに乗る、あるいは降りるタイミングで床の模様が変化することで、車体がその人を受け入れてくれたり、名残惜しんだりする様子を示します。





床の模様が変わる


または、ポールを握ると、物理的に変形して挨拶のように返してくれるアイデアもありました。



ポールの変形する様子

ワークショップの提案について話しているとき、Romi氏はこう付け加えました。「今回のアイデアは、コロナ問題より前に出たものでした。だから、どうやったら人が一緒にいることを感じられるか?について深く考えていたことを覚えています。しかし、もしこれが 1ヶ月遅れてスタートしていたら、同じ提案になったかはわかりません。突然のように変化が来ることが印象的です」。

現在もUTmobiの研究グループと、DLX Design Labのメンバー、そしてベツァルエルのメンバーたちは、定期的にミーティングを重ねています。今回のCOVID-19の問題も受けて、人と人との距離感への考え方も少しずつ変わってきていますが、それはモビリティの空間でも同じです。

「新しいものを作るとき、デザインの役割はとても大きいんです。私たちも広い意味でのモビリティデザインを考えています。ポストコロナ、ウィズコロナというキーワードも出てきていますが、課題解決だけではなく、新しいものをブレストを重ねながら提案していきたいですね」と、UTmobiの代表を務める生産技術研究所の須田義大教授は話します。

DLXとUTmobiという、生産技術研究所を飛び越えた組織のコラボレーション。価値創造デザイン推進基盤・副基盤長の新野俊樹教授も、今回のプロジェクトについて期待を寄せています。

「UTmobiの研究資源はまさに宝物ですが、これまでのモビリティでデザインというと、やや堅実な感じがしますよね。でもDLXのデザインの思考方法は、いつもちょっと飛んだアイデアを生み出します。柏ⅡキャンパスにもDLXの拠点はありますが、さまざまな組織が集まったキャンパスなので、新しい方々とのコラボレーションもどんどん歓迎していきたいです」。

自粛期間でさまざまな予定がペンディングとなっていましたが、研究も少しずつ動き始めました。このモビリティの未来を考えるプロジェクトも、新しい日常とともにまた走り出します。


*このコンテンツは一定期間を過ぎた後にDLX Design Labのwebsiteに掲出されることがございます。


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