Skin Vessel

Skin Vesselボディスーツ プロジェクトSkinvessel は、生産技術研究所の研究成果を活用し、新しい製品やサービスにつながるコンセプトを開発するプロジェクトです。DLX Design Labと長谷川研究室が協力し、「身体の上から血管を身につける」ことで体温調節を補助するボディスーツの開発を目指しています。下記のイメージは、将来的に 宇宙空間や水中のような特殊環境 でも着用できることをイメージしたものです。 背景とアイデアの源 長谷川研究室では、流体やそれに伴う熱の流れの予測やその制御を目的とした研究を行っています。その中で、 「与えられた空間において、流体を駆動するために必要なポンプ動力をできるだけ抑えつつも、冷却効率を最大化する」といった相反する目的を同時に満たす流路形状の最適化アルゴリズムを開発 しています。その結果、得られる最適流路形状の多くは生物の血管網に似た枝分かれ構造を有しています。そこから着想を得て、「もし血管のような分岐構造を服として身にまとうことができれば、人体の熱交換をより効率的に行えるのではないか」という仮説が生まれました。(画像提供: 長谷川研究室) 血管を着る 長谷川研究室の流体力学研究で開発されたアルゴリズムで得られた経路を応用し、 身体の表面に沿って最適な水路を配置 し、その中に温水や冷水を巡らせることで、効率的な身体の熱交換が可能にならないか?という問いが生まれました。これは、人間の血管が「血液の全身への循環」と「体温調節」を同時に行っている構造とよく似ています。 プロトタイピング このアイデアを「実際に着られるウェア」に落とし込むため、プロジェクトチームでは プロトタイピング を積極的に行いました。試作品を実際に身に着け、冷水や温水の循環による体温変化を観察しました。 小さな新型ポンプ この経路の特徴のひとつとして、 流体抵抗を最小限に抑えている ため、大型ポンプを使わずとも水が循環しやすい点があります。従来のクーリングベストのように大きなポンプを背負わなくても、 人体の動きに合わせて自然に水を送る小型ポンプ を想定できるというわけです。実際に、身体に取り付けて人の動きを利用した小型ポンプの試作を重ねる中で、 モーターに依存しない半自動循環 が実現できることがわかりました。 今後の展開と応用 開発中のウェアは軽量かつコンパクトに作れるため、従来のクーリングベストよりもスポーツなどのアクティブシーンで使いやすくなる可能性があります。さらに、冷え性や体温調節が苦手な人へのウェアとしての応用も検討中です。 また、汗が蒸発しにくい 高温多湿の場所 や、 微小重力の宇宙空間 、さらには 水中 での利用なども視野に入れています。今後は、技術のさらなる小型化・量産化、そして個々人の血管構造に合わせたパーソナライズによって、より幅広い場面で活用できるよう研究を続けていく予定です。
Skin Vesselボディスーツ プロジェクトSkinvessel は、生産技術研究所の研究成果を活用し、新しい製品やサービスにつながるコンセプトを開発するプロジェクトです。DLX Design Labと長谷川研究室が協力し、「身体の上から血管を身につける」ことで体温調節を補助するボディスーツの開発を目指しています。下記のイメージは、将来的に 宇宙空間や水中のような特殊環境 でも着用できることをイメージしたものです。 背景とアイデアの源 長谷川研究室では、流体やそれに伴う熱の流れの予測やその制御を目的とした研究を行っています。その中で、 「与えられた空間において、流体を駆動するために必要なポンプ動力をできるだけ抑えつつも、冷却効率を最大化する」といった相反する目的を同時に満たす流路形状の最適化アルゴリズムを開発 しています。その結果、得られる最適流路形状の多くは生物の血管網に似た枝分かれ構造を有しています。そこから着想を得て、「もし血管のような分岐構造を服として身にまとうことができれば、人体の熱交換をより効率的に行えるのではないか」という仮説が生まれました。(画像提供: 長谷川研究室) 血管を着る 長谷川研究室の流体力学研究で開発されたアルゴリズムで得られた経路を応用し、 身体の表面に沿って最適な水路を配置 し、その中に温水や冷水を巡らせることで、効率的な身体の熱交換が可能にならないか?という問いが生まれました。これは、人間の血管が「血液の全身への循環」と「体温調節」を同時に行っている構造とよく似ています。 プロトタイピング このアイデアを「実際に着られるウェア」に落とし込むため、プロジェクトチームでは プロトタイピング を積極的に行いました。試作品を実際に身に着け、冷水や温水の循環による体温変化を観察しました。 小さな新型ポンプ この経路の特徴のひとつとして、 流体抵抗を最小限に抑えている ため、大型ポンプを使わずとも水が循環しやすい点があります。従来のクーリングベストのように大きなポンプを背負わなくても、 人体の動きに合わせて自然に水を送る小型ポンプ を想定できるというわけです。実際に、身体に取り付けて人の動きを利用した小型ポンプの試作を重ねる中で、 モーターに依存しない半自動循環 が実現できることがわかりました。 今後の展開と応用 開発中のウェアは軽量かつコンパクトに作れるため、従来のクーリングベストよりもスポーツなどのアクティブシーンで使いやすくなる可能性があります。さらに、冷え性や体温調節が苦手な人へのウェアとしての応用も検討中です。 また、汗が蒸発しにくい 高温多湿の場所 や、 微小重力の宇宙空間 、さらには 水中 での利用なども視野に入れています。今後は、技術のさらなる小型化・量産化、そして個々人の血管構造に合わせたパーソナライズによって、より幅広い場面で活用できるよう研究を続けていく予定です。