top of page

My Items

I'm a title. ​Click here to edit me.

デザインで介護業界を再定義する:As Partners × DLX

デザインで介護業界を再定義する:As Partners × DLX

As PartnersとDLXデザインラボによる4か月間の協働は、介護現場における孤独、テクノロジーの役割、そして産学連携の可能性について何を明らかにしたのか。 「覚悟して、大学時代の友人とご縁を切ろうと思って、ここに入居しました。」 「入居にあたって趣味も全部やめましたね。」 これらは、DLXのチームがAs Partnersの介護施設でフィールドリサーチを行う中で、入居者の方々から聞いた言葉です。調査を通じて見えてきたのは、入居者一人ひとりの暮らしの実態と、孤独が単なる物理的な孤立だけでなく、人とのつながりや日々の習慣、自立性の喪失によっても生まれるということでした。 「Project Collins」は、東京大学生産技術研究所DLXデザインラボと、首都圏で25以上の介護付きホームを運営するAs Partnersによる、2025年1月から4月までの4か月間にわたる共同デザインプロジェクトです。日本の高齢化が進む中、孤独はますます深刻な社会課題となっています。本プロジェクトでは、デザインを通じて高齢者コミュニティの中に喜びやつながり、そして生きがいを生み出す方法を探求しました。 その成果として生まれたコンセプトは、水分補給の場をコミュニティの交流拠点として活用するアイデアから、入居者の感情状態を穏やかに捉えるバイオセンサーまで、多岐にわたりました。未来志向のデザインアプローチを用いることで、介護現場の日常的な現実に根ざしながらも、新たな可能性の領域を描き出しました。 プロジェクト終了から約1年後、DLXデザインラボのマイルズ・ペニントン教授と、As Partners代表取締役社長の植村健志氏が対談を行い、本プロジェクトから見えてきた学びや示唆について語りました。以下は、その対談で取り上げられた主なテーマの一部です。 マイルス・ペニントン教授(左)と植村健志社長(右) 孤独と高齢者介護 ーいずれ誰もが、何らかの形で向き合うことになるー マイルズ・ペニントン教授:孤独というテーマは、私自身にとっても非常に身近なものです。私の母は現在、イギリスの介護施設で暮らしています。母を施設へ移す際に最も辛かったのは、長年の友人たちや慣れ親しんだ地域から引き離すことでした。母はとても孤独を感じていました。何か月もの間、毎日のように荷物をまとめては「家に帰りたい」と言っていたのを覚えています。 植村健志社長:かつて日本では、高齢者向けのホームは「住まい」というより、「施設」や「病院」として捉えられていました。こうした場所ではレクリエーション活動も行われていますが、どこか幼稚園のような内容になってしまうこともあり、私は入居者の方々の表情に退屈さを感じることがありました。一人ひとりに「こんなふうに生きたい」という思いがあります。その人らしく、楽しみながら暮らせる環境をつくりたいと考えるようになったのです。 介護業界におけるテクノロジー ーテクノロジーは多くのことを担えるが、介護の最も人間的な部分までは代替できないー 植村社長:当社は約8年前からテクノロジーの活用によるケアの質向上と業務効率化に取り組み、その変革を業界全体へ広げていこうとしています。高齢者が増加し、働き手が減少する日本の人口構造の中で、課題解決の鍵は生産性向上であり、その中心はテクノロジーにあると考えています。 ただし、テクノロジーによって介護業務の多くを担えるようになったとしても、いわゆる三大介助と呼ばれる排泄・入浴・食事の介助をどこまでロボットができるかが課題だと思われます。これらの介助は精神的にもデリケートな内容が含まれておりますし、体調の変化などに気付くポイントでもあるので、最終的には人間が関わる必要があるんじゃないかと考えます。 ペニントン教授:テクノロジーは間違いなく助けになるはずです。現在、私たちはAIやロボティクスの大きな変革の時代を迎えており、これらは介護の現場にも大きな影響を与える可能性があります。 しかし同時に、これは非常に人間中心的な課題でもあります。介護とは「ケアを提供すること」であり、その本質は「ケア」そのものにあります。人と人との関わりだからこそ、テクノロジーだけで解決できるものではありません。重要なのは、人間中心の視点でテクノロジーを活用し、どのように新しい解決策を生み出せるかを考えることだと思います。 産学連携 ー最も重要な仕事は、プロジェクトが始まる前に行われる。目的や期待値をすり合わせることだ。ー ペニントン教授:大学と社会の間には、しばしば理解のギャップがあります。しかし、そのギャップを埋める方法は数多くあります。例えば、研究を一般の方々にも分かりやすく魅力的な形で伝えること、研究活動に市民の方々に参加してもらうこと、研究成果を実際の製品やサービスへとつなげること、あるいは研究者自身が自らの研究と社会への影響について考える機会を持つことなどです。もちろん、「社会」の中には企業も含まれています。そのため、DLXでは企業と大学の研究をつなぐことも重要な役割の一つだと考えています。 植村社長:企業にとって、大学と連携する一番の価値はやはりナレッジだと思っています。研究のゴールは論文になることも多いですが、企業が研究の途中から関わることで、その成果を社会の中でどう活かしていくか、製品やサービスとしてどう届けていくかを一緒に考えられる。大学と企業ではスタンスが異なりますが、その違いがあるからこそ一緒にやる価値があると思っています。 ペニントン教授:DLXデザインラボのような存在は、研究と社会、大学と企業をつなぐ橋渡し役になれると思っています。産学連携を考える上で、特に重要なのは「時間軸の違い」を理解することです。 大学の研究は常に知の最前線を探求しています。研究者の目的は新しい知識を発見し、世界への理解を広げることであり、それには時間がかかります。一方で企業は、比較的短い時間軸の中で事業機会を生み出すことを求められます。 そのため、企業と研究者の間には認識のずれが生じることがあります。お互いの目的やニーズを理解し合うには時間が必要です。そして私たちは、その相互理解を促進するための手段として、しばしばデザインを活用しています。 植村社長:時間軸と目的意識を共有することが重要だと思います。それがなければ、企業としてはなかなか具体的な行動に移すことができません。 もちろん、最初からすべてが明確になっている必要はなく、試行錯誤もあるでしょう。しかし共通のビジョンを持つことができれば、一社だけでなく、業界全体、さらには社会全体を巻き込んだ取り組みへと発展していく可能性があると思います。 ペニントン教授:企業と大学が効果的に協働するための仕組みは、長期的な視点で築いていく必要があります。それは、明確な事業目標の達成を目指す企業の研究開発とは異なる種類の活動です。短期間で利益につながる高速なプロジェクトではなく、共に探索し学び続けるための長期的な関係性が重要になります。 植村社長:私もそう思います。企業としては、長期間にわたる純粋な研究開発を続けることはなかなか難しいのが現実です。だからこそ、産学連携では時間軸を合わせ、共通の目的を持つことが重要だと思っています。最初からすべてが決まっている必要はありませんが、一つの目標に向かって産業界と学術界が協力できれば、それは非常に大きな力になると思います。 2026年6月26日 マイルズ・ペニントン 東京大学大学教授 デザイン先導イノベーションを専門とし、DLXデザインラボのディレクターを務める。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アートで教授・学科長を歴任後、17年より東大生産技術研究所教授、東大総長特任補佐。 植村 健志 株式会社アズパートナーズ 代表取締役社長兼CEO 介護付きホームを中心としたシニア事業と不動産事業を展開し、EGAO link®をはじめとするIoTシステムで介護業界のDXを牽引。リクルートコスモス、宝工務店で住宅開発・経営に携わった後、2004年にアズパートナーズを設立。一般社団法人全国介護付きホーム協会副代表理事。 関連プレスリリース PR Times、2026年6月26日 東京大学生産技術研究所、2026年6月30日

Coral Rescue、Core77 Design Award 2026 Notable受賞!

Coral Rescue、Core77 Design Award 2026 Notable受賞!

DLX Design Labの市民参加型サンゴ保全プロジェクト「Coral Rescue」が、世界的デザインメディアCore77が運営するCore77 Design Award 2026においてNotableを受賞しました。 このプロジェクトは2023年にWired Japan Creative Hack Award 大賞、Re:Design Everything、D&ADなど複数の賞を受賞してきましたが、当時はまだコンセプト段階での受賞でした。今回は実施フェーズも含めた評価であり、NHK Worldにも取り上げていただいた実践の部分も含めての受賞となりました。 実現までに長い時間と労力がかかったプロジェクトだからこそ、世界で活躍するイノベーション分野の審査員の方々に選んでいただけたことは格別の喜びです。プロジェクトに関わってくださったすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。 今年は奄美大島でのワークショップ実施も予定しています。引き続き応援よろしくお願いします。 https://designawards.core77.com/Design-for-Social-Impact/142261/Coral-Rescue-Conserve-Together?fbclid=IwY2xjawSe_31leHRuA2FlbQIxMQBzcnRjBmFwcF9pZBAyMjIwMzkxNzg4MjAwODkyAAEeHYJ03kNTaJEEkRrhEYI0Ray_oqPT3CR6lQ5DEHqWWsvIRX890nLJl_71Zg8_aem_tCfJjY1Y2w_hXrIKw2y2UA
プロジェクトウェブサイト
https://coralrescue.wixsite.com/coral-rescue

最新のプロジェクトビデオ Credits Credits Creative Core Team Cretive Director: Tomomi Sayuda (DLX Design Lab, UTokyo) Design Engineer: Hemal Diaz (DLX Design Lab, UTokyo) Product Designer: Shota Kiuchi (DLX Design Lab, UTokyo) Scientific Collaborators Toh Tai Chong & Sam Shu Qin (TMSI, National University of Singapore) Nastassja Lewinski (Virginia Commonwealth University) Nina Yasuda (The University of Tokyo) Masako Nakamura (Tokai University) Local Ocean Advisor Kazuya Asakura (Hirasawa Marine Centre) Software Engineer Isamu Sakamoto #CoralRescue #Core77DesignAward #DLXDesignLab #UTokyo #CoralConservation #CitizenScience #MarineConservation #DesignResearch #サンゴ保全 #市民科学

2026年 修士課程卒業生による修士論文

2026年 修士課程卒業生による修士論文

この春、東京大学大学院学際情報学府の先端表現情報コースから2名の修士学生が卒業しました。デザイン思考と先端技術の橋渡しを探る、修士論文をご紹介します。 高齢者介護施設における信頼を育むためのカメラモニタリングのデザイン研究 Darey-Ann Louisville 本研究は、介護施設におけるカメラモニタリングシステムのデザインを再考し、入居者に対する信頼や心理的安心感をどのように高められるかを探るものです。研究は、東京都内の介護施設との協働ミーティングから始まり、入居者の快適性や介護を支援する新技術の役割について検討しました。その中で、入居者やスタッフの間にカメラ監視に対して抵抗感があることが明らかとなり、「高齢者介護の文脈において、カメラモニタリングの受容は現状から大きく改善できるのか」という研究課題につながりました。 本プロジェクトでは、モニタリングシステムの形態やインタラクションを再考することで、受容に向けた知覚的・感情的な変化を探求します。日常生活の中でこれらの技術がどのように体験されるのか、そして入居者のウェルビーイングと介護実践の双方を支援できるのかを明らかにすることを目的としています。 また、人々がモニタリング技術とどのように関係するかを捉えるため、「拒否」から「選好」「信頼」へと至る受容のスペクトラムを定義しました。アイデア創出やワークショップ、介護施設への訪問を通じて、カメラの形態やインタラクションが安心感や信頼に与える影響を検証しました。 「拒否」から「選好」「信頼」へと至る受容のスペクトラム リサーチ・スルー・デザインの手法と、混合的・参加型アプローチを採用し、文献調査、ユーザー参加、プロトタイピング、分析という4つの反復的フェーズで研究を進めました。データ収集には、知覚ワークショップ、安全性や信頼に関連する視覚的属性を調べる独自アプリ「Friendshapes」、さらに三育会、介護施設ASパートナーズでの対面インタビューが含まれます。 デザインプロセスの結果、「育む(nurture)」「内省(reflect)」「つなぐ(connect)」という3つのインタラクションカテゴリと、2つのローファイ・プロトタイプが生まれました。 1つ目は、見守り機能を持ちながら養育的な反応を引き出すぬいぐるみ型デバイス、2つ目は個人の健康状態を提示し主体性を支援するアシスタントボットです。 インタビューからは、「プライバシー対便益」のトレードオフが明らかになり、監視が直接的な価値を提供する場合に受け入れ度が高まることが示されました。 最終的に本研究は、監視に伴う不快感を技術的制約ではなくデザイン課題として位置づけます。デバイスの物理的な形態や入居者との関係性を再設計することで、監視は倫理的に配慮された支援的サービスへと変容させることができると示しました。本研究は、人間の尊厳と長期的なウェルビーイングを重視したモニタリング技術開発のためのデザインフレームワークと指針を提示します。 共有される痛み:痛みの伝達と理解のためのツールのデザイン 増澤 茉莉子 本研究は、痛みは生理学的には普遍的な現象であるにもかかわらず、他者に伝えることが極めて困難であり、それが臨床的な意思決定や日常の人間関係において大きな課題となっているという認識に基づいています。 AIやセンシングシステムなどの先進技術が医療分野に導入されている一方で、痛みの主観的かつ文脈に依存する微妙なニュアンスを単なるデータとして捉えることには、本質的な限界があります。日本の高齢化社会と医療資源の不足が深刻化する中、本研究は、個人の主観的な体験を尊重する個別化医療の必要性を指摘します。 本研究では、「痛みに対する共通理解を促すツールはいかに設計できるか」という問いを設定しました。痛みの伝達を一方向の情報伝達としてではなく、「痛みを表現する人(送信者)」と「受け取る人(受信者)」の関係的プロセスとして再定義します。痛みは「経験的情報」として捉えられ、媒介・表現・解釈のプロセスを必要とします。この枠組みの中で、「共感の非対称性」という概念が導入され、理解されたと感じる側と理解しようとする側の間にズレが生じることが示されます。 リサーチ・スルー・デザインの手法を採用し、探索的なアイデア創出、5つの表現モードの分類、インタラクティブなコミュニケーションツールの開発を反復的に行いました。初期段階では100名を対象とした調査を実施し、痛みの共有が主に家族や友人といった「ケア関係」の中で行われることが明らかになりました。その後、抽象的な視覚・触覚要素による痛みの外在化を探るワークショップを実施しました。 素材や形状に関する知覚研究では、「非対称性」「高い視覚密度」「構造的不安定性」などが痛みや心理的不快感を喚起する要素として特定されました。これらの知見をもとに、「誇張する(Exaggerate)」「類推する(Analogize)」「比較する(Compare)」「記録する(Record)」「表出する(Express)」という5つの表現モードが定義されました。 プロトタイピング段階では複数のツールを開発し、反復的に改良しました。最終的には、ユーザー間のインタラクションの質を可視化するチャット型インターフェースをデザインしました。このシステムでは、会話における共感の度合いをAIによって推定し視覚化することで、関係性の変化を認識できるようにしています。また、文脈に応じたインタラクションを導入することで、痛みに対するより深い関与と内省を促します。 90代の参加者を含むユーザーテストでは、チャット形式の親しみやすさと遊び心のある要素が、ケアの現場における深刻な状況の中に「心理的な余白」を生み出し、難しい対話をより行いやすくすることが示されました。 本研究は、痛みを完全に共有することの不可能性を解決しようとするものではありません。むしろ、デザインを媒介としてよりアクセスしやすい共感的な関係を生み出し、医療実践の持続可能性に貢献することを目指しています。

AICOM -Democratised and Co-creative AI

AICOM -Democratised and Co-creative AI

NUS-Keio & UTokyo Collaboration 民主化されたAIと社会の未来を考えるためのゲーム化データ収集とコミュニケーションデザイン 2020年〜現在 共同研究者: 菅野研究室 AICOMは、東京大学生産技術研究所DLX Design Labと同菅野研究室の共同プロジェクトです。学習データ獲得のためのゲームとワークショップがセットになった機会を提供することによって研究者と一般の方とのコミュニケーションの機会を作り、AI技術を民主化するための新しい仕組みをデザインすることが目的になっています。 AICOMのデータ獲得ゲームでは2人のプレイヤーがペアになり、間に挟んだ透明の文字盤上で相手が見ている文字を予想しながら単語を当てることで協力してポイントを獲得します。正解の文字とともにゲーム中の顔画像が記録されるため、顔画像と視線方向がペアになった、視線推定AIの学習に用いることのできるデータセットが同時に出来上がることになります。 また、ゲーム参加と合わせてAI技術の紹介やアイデア発想ワークショップの機会も設けることで、参加者が一方的にデータを獲得されるのではなく研究者と一緒に未来を考える機会を提供します。 研究者側がAI研究を進める上で必要不可欠なデータ収集過程をゲーム化することで広く一般に開かれたものにすることを実現しながら、参加者側もAIや機械学習技術を学びデータが必要とされる理由や目的を理解できるような、相互にとって意義のある仕組みをデザインすることを最終的な目標としています。 このプロジェクトは、東京大学潮田基金の助成を受けてスタートした、東京大学生産技術研究所 DLXデザインラボとシンガポール国立大学・慶應-NUS CUTEセンターのデザインを通じた科学をテーマに行っている国際科学研究である未来の社会プロジェクトの一環として行っています。 受賞歴
第24回 文化庁メディア芸術祭 エンターテイメント部門 審査委員会推薦作品 (2021)
https://j-mediaarts.jp/award/entertainment/

Shortlisted on D&AD Future Impact award 2021
https://www.dandad.org/awards/professional/2021/234837/aicom/ #プロトタイプ #ユーザーテスト #AICOMプロジェクト

Moisture Commons

Moisture Commons

国境を超えて大気中を移動する水の軌跡をたどる 2025 年〜現在 共同研究者:吉村研究室 Moisture Commonsは、大気中の水分が国境を越えて移動し、どのように天気を形づくるのかを可視化するプロジェクトです。遠く離れた海や陸地からローカルな降雨に至るまで、水蒸気の流れをたどることで、地球規模の気候システムと地域的な気象パターンの深い相互関係を明らかにします。 本プロジェクトは、東京大学生産技術研究所・吉村研究室との協働により開発されました。気候シミュレーションによって再構築された大気中の水分の移動経路を、直感的に理解できる可視化へと変換することで、私たちが共有する大気というコモンズへの意識を高め、気候変動に対する協働的な行動の必要性を示しています。 #環境・サステナビリティ #プロトタイプ #トレジャーハンティング

未来Designers by DLX - 高校生のためのデザイン先導イノベーション教育プログラム 第一 期終了

未来Designers by DLX - 高校生のためのデザイン先導イノベーション教育プログラム 第一 期終了

2026年2月28日をもって、高校生デザインイノベーションプログラムの「未来Designers by DLX」の第1期が無事に終了しました。 三菱みらい育成財団のご支援のもと、2025年10月から2026年2月までの約5か月間、選抜された24名の高校生が、デザイン、イノベーション、そしてプロトタイピングについて学びました。 <プログラム概要> 「未来Designers by DLX」 は、より良い未来をデザインしたい高校生のためのイノベーション教育プログラムです。 東京大学生産技術研究所 価値創造デザイン推進基盤 DLXデザインラボが提供し、科学・テクノロジー・人間中心の視点を組み合わせた「デザイン先導イノベーション」を実践的に学びます。 生徒たちは、デザイン思考やプロトタイピングを学びながら、人々のニーズや社会課題をリサーチし、チームでアイデアを形にしていきます。 詳細なレポートをご覧になりたい方は、DLXデザインアカデミーのウェブサイトに掲載されているブログ記事をご確認ください。 プログラムに関してご質問がありましたら、お気軽に下記までご連絡ください。 mirai-designers@designlab.ac <謝辞> このような貴重な学びの機会を生徒たちに提供することができましたのは、三菱みらい育成財団のご支援によるものであり、心より感謝申し上げます。 また、本プログラムは東京大学次世代育成オフィスのご支援およびご助言のもと実現いたしました。ここに深く御礼申し上げます。

プロジェクト Collins: 老人ホームの中の孤独感を対策する

プロジェクト Collins: 老人ホームの中の孤独感を対策する

離れて暮らす家族が入居者の感情をモニタリングすることができる化学センサーのコンセプトスケッチ 老人ホームの中の孤独感を対策する 2025年1月〜2025年4月 コラボレーター: AS PARTNERS Co., Ltd. (https://www.as-partners.co.jp/) 世界中で急速に進む高齢社会において、“孤独”は静かでありながら最も緊急な課題の一つです。特に、未婚者や離別者、健康状態の悪い人、世帯収入の低い人、社会との関わりが少ない人など、社会的・経済的に弱い立場にある人に孤独の傾向が強いと考えられています。1 また、令和6年の調査では約4割の人が「孤独感がある」と回答しているというデータもあります。2 日本では、2040年には人口の3人に1人が65歳以上という、3 超高齢社会を迎えようとしています。そこで、デザインはどのようにして高齢者に喜びや人・社会とのつながりを生み出すことができるでしょうか。 プロジェクトCollinsは、株式会社アズパートナーズとDLXデザインラボが協働し、高齢社会における孤独や介護業界の問題に取り組み、そして介護ケアの未来を探るプロジェクトとしてスタートしました。 1 https://www.cao.go.jp/kodoku_koritsu/torikumi/zenkokuchousa/r6/pdf/tyosakekka_point.pdf 2 https://www.cao.go.jp/kodoku_koritsu/torikumi/zenkokuchousa/r5/pdf/kosatsu_r5.pdf 3 https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2025/zenbun/pdf/1s1s_01.pdf 背景とインスピレーション 日本の高齢化が進む中で、「高齢者はどのように日々の生活を送り、どのように人とのつながりを感じるか」という問いは、もはや未来の問題ではありません。 株式会社アズパートナーズは首都圏で25以上の介護付き老人ホームを運営しており、このような課題に日々直面していました。 プロジェクトCollinsでは、2040年の未来を視野に入れた「介護施設における入居者の孤独」をテーマに、孤独に対するアプローチを探索しました。未来志向のデザインアプローチを用いて、目の前の問題を超えた長期的な可能性や問題を想像しながら、今日のアイデアが明日の介護現場でも活かせることを目指しました。 株式会社アズパートナーズが運営する介護付有料老人ホーム「アズハイム神宮の杜」 プロセス リサーチなど 私たちは株式会社アズパートナーズが運営する介護付き有料老人ホーム「アズハイム」に訪問し、入居者やスタッフを10名を対象にヒアリングを実施しました。ヒアリングから入居者の生活や、孤独の実態、高齢社会が抱える課題について貴重な洞察を得ることができました。 ある入居者はこう語りました。 「覚悟して、大学時代の友人とご縁を切ろうと思って、ここに入居しました。」 「入居にあたって趣味も全部やめましたね。」 別の入居者は 「スタッフさんたちに散歩程度で煩わせるのは申し訳ない。」 と、介護に対する遠慮や罪悪感を感じることを教えてくださいました。 こうした声から見えてきたのは、施設に入るということが、単なる住まいの移動にとどまらず、人間関係や習慣、自立を失うことにもつながっているという現実です。また、孤独を和らげることは、人間関係の構築だけでなく、日常をより豊かにし、心身の健康を保ち、尊厳や帰属意識を取り戻すことでもあると学びました。 このようなリサーチや得られた洞察から、アズパートナーズ、DLXデザインラボ、東京大学の研究者がチームを組みアイデア出しのワークショップを実施しました。 介護の現場の知見×デザインアプローチ×研究・技術のコラボレーションを生かしたアイデアを得ることができました。 株式会社アズパートナーズのスタッフ、DLXのデザイナー、東京大学の研究者によるアイディエーションワークショップの様子 コンセプト ワークショップで生まれたアイデアを5つのコンセプトにまとめ、株式会社アズパートナーズの経営陣にプレゼンテーションしました。自発的な笑顔を作るアクチュエータのような未来的なアイデアから、入居者の感情に寄り添う優しい化学センサーまで幅広いアイデアが生まれました。 このプロジェクトは、多様なバックグラウンドを持つ人々が協働し、未来に向けたデザインの課題に取り組む機会になりました。その中で、創造的な発想と介護の現実とのバランスの難しさや、入居者やスタッフから介護現場の生の声を聞き、介護スタッフとデザイナーとコラボレーションすることでアイデアに実用性と温かさが生まれるということを学びました。 さらに、介護施設を「衰えていく場所」ではなく、「引き続き人生送っていく場所」として捉え直す挑戦でもありました。未来志向のデザインを取り入れたことで、株式会社アズパートナーズにとっても、未来の介護のストーリーを描くきっかけとなり、この志は未来を拓く取り組みへと展開させています。 プロジェクトCollinsは、現在だけでなくこれからの孤独の課題に向き合うための意味のある小さな一歩となりました。 プレスリリース PR Times、2025年12月10日 東京大学生産技術研究所、2025年12月10日 PR Times、2026年6月26日 東京大学生産技術研究所、2026年6月30日 #健康_ウェルビーイング #コンセプト

IWCD Prototyping

IWCD Prototyping

IWCDの一部のラピッドプロトタイプ 物理学の最先端に向けたデザイン 2024年5月〜現在 コラボレーション: Kavli IPMU(カブリ数物連携宇宙研究機構) IWCD PrototypingはKavli IPMU(カブリ数物連携宇宙研究機構)との共同プロジェクトです。宇宙の起源解明を目的としたニュートリノの研究装置ハイパーカミオカンデの一部であるIWCD(中間水チェレンコフ検出器)において、人間中心で費用対効果の高いソリューションを設計しています。 プロジェクトの背景 「宇宙最小単位」のニュートリノは宇宙の起源を解明する鍵を握っていると考えられています。 小柴昌俊博士が開発したカミオカンデシリーズは当初は陽子崩壊の研究を目的に作られましたが、後にニュートリノ観測のために改良されました。 小柴博士らは初代カミオカンデを用いて超新星爆発から放出されたニュートリノを世界で初めて観測し、その功績により2002年にノーベル物理学賞を受賞しました。後継機であるスーパーカミオカンデはニュートリノ振動の実証に成功し、さらなるノーベル賞受賞研究を支えました。そして現在、ニュートリノ研究をさらに発展させるための新装置ハイパーカミオカンデは2028年の稼働開始を目指して建設が進められています。 スーパーカミオカンデ内部、東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設 DLX Design Lab は、世界中の科学者・エンジニアと協力し、ハイパーカミオカンデ実験の一部である「中間水チェレンコフ検出器(IWCD)」の開発に取り組んでいます。IWCD は、茨城県東海村の J-PARC におけるニュートリノビーム源の近くに設置される予定です。 この検出器は、深さ 40 m の縦坑内を上下に動かすことでビームの観測角度を変える “PRISM 技術” を備えており、岐阜県神岡にあるメインのハイパーカミオカンデ検出器(295 km 離れた遠方検出器)へと照射するための高精度なビーム測定を可能にします。 ニュートリノがこの長い道のりで種類を変えていく(ニュートリノ振動)様子を調べることで、この宇宙がなぜ物質に満ち、反物質がほとんど残らなかったのかという大きな謎の解明に近づくことができます。これは現代物理学における最も大きな問いの一つであり、その理解は、私たちの宇宙がなぜ今の姿になっているのかを説明する手がかりとなります。 IWCD(中間水チェレンコフ検出器)で観測されるチェレンコフ水のシミュレーション、https://www-neutrino.kek.jp/ IWCD(中間水チェレンコフ検出器)は深さ50mの垂直シャフト内に設置され、上下に移動することで異なる起動のニュートリノを観測することができる、https://www-neutrino.kek.jp/ DLXデザインラボでは迅速かつ低コストでテスト可能なモックアップの制作から、組み立てや取り扱いを容易にしてユーザビリティを向上させるブラケット、治具、部品の設計まで、複雑な製造・エンジニアリング環境でのデザインの価値を実証してきました。 安価でシンプルなスクみでアイデアを継続的に検証することで、科学者とエンジニアに可視化を通じた共通理解を生み出します。また、開発の初期段階で大きな損失につながるミスや見落としを防ぐことができ、より効率的で精度の高い開発プロセスの実現に貢献しています。 検出器の一部のモックアップ、J-PARC #プロトタイプ #ユーザー_テスト

AICOM - Mind the AI Gap

AICOM - Mind the AI Gap

AICOM - Mind the AI Gap のゲーム機 人間がAIをまだ越えることは何ですか? 2024年〜現在 共同研究者: 菅野研究室 AICOMプロジェクトでは、一般の人々と研究者が協力しながらAIの開発を推進していくことを目指しています。 AIの限界をより良く理解できるように、AIの理解のギャップを発見するために、私たちは一般の人々がAIの評価に使用されるデータを作成できるゲームを開発しています。 人間には伝わるがAIには伝わらない説明文を作る二人プレイヤーゲームです。これを通して、画像と説明のデータセットを作り上げることができます。 研究のインスピレーション 菅野研究室はコンピュータビジョンや人工知能を研究しています。AIがより広く普及するにつれて、現在のシステムの限界を明らかにすることがますます重要になっています。一見些細に見えるギャップでも、一部のユーザーにとっては重大な問題となる可能性があります。 ゲーミフィケーションによるデータ収集 ゲームを通じてデータを収集することで、プレイヤーは楽しみながらAIの発展に貢献できます。プロトタイプやユーザーテストを何度も繰り返すことで、良質なデータを収集することと、楽しくやりがいのある体験を提供することのバランスを見つけていきます。 二人プレイヤーが一緒に協力してAICOMちゃんを越えるゲームです。 東京大学 駒場リサーチキャンパスの2025年のオープンキャンパスでのユーザーテスト #プロトタイプ #ユーザーテスト #AICOMプロジェクト

TabeMaru

TabeMaru

フードロスをサステナブルな農業価値へ 2023年7月〜現在 コラボレーター:東京大学農学部 応用昆虫学研究室 日本では、食品生産に用いられる肥料の約90%が輸入に頼っており、外国の資源に依存しています。その一方で、毎年500万トンもの食品が廃棄されています。私たちはこの状況から、食品廃棄物から栄養素を回収し、輸入肥料を徐々に置き換える機会を見出します。 私たちは、レストラン向けの革新的なシステム「TabeMaru」を開発しています。これは、生ゴミを有機肥料に変えるブラックソルジャーフライ(通称BSF)のコロニーを活用し、食品廃棄物を有機肥料に変えるシステムです。 生産と消費のループを閉じることにより、輸入肥料への依存を減らし、日本の農業のレジリエンスを高めることを目指しています。 #エコロジー_環境_サステイナビリティ #プロトタイプ

Rats in the City

Rats in the City

都市の野生動物との共生に向けて 2024年〜現在 共同研究者:獣医動物行動学研究室 「Rats in the City」は、都市に暮らすネズミの姿を1年間にわたって観察・探求した旅へと来場者を誘います。原広義の写真と組み合わせた3つのインタラクティブなインスタレーションを通じて、このプロジェクトは、先入観を離れた新しい視点からネズミを見ることを呼びかけます。 もしかすると、ネズミは私たちが思い込んできたような「汚らしい」害獣ではないのかもしれません…。 科学的な視点を土台にしながら、人と野生動物の両方にとって持続可能な都市のあり方を描き、より生態系に包摂的でしなやかな都市づくりを目指しています。 展示 駒場オープンキャンパス: 5月30–31日, 2025年 DLX Curiosity イベント @ Tokyo Node Lab: 8月7日, 2025年 光州 デザインビエンナーレ (光州, 韓国): 8月30日– 11月2日, 2025年 柏オープンキャンパス: 10月24–25日, 2025年 科学と芸術の丘 (松戸市、千葉): 10月24–26日, 2025年 #エコロジー_環境_サステイナビリティ #展示

OMNIデルタ

OMNIデルタ

河川でのごみ拾いのOMNIデルタツール 海に流れ着くゴミを防ごう! 2024年〜2025年 共同者:逗子市、四国中央市、長崎県、山崎研 プラスチックごみは陸上や河川に蓄積され、たとえプラスチックごみの主な発生源が解決されたとしても、海洋ごみの長期的な発生源となることが研究で示唆されています。海ごみの約80%は陸地に由来し、その多くは河川に蓄積され、最終的に海に運ばれます。 さらに、日本では、本土の海岸線の約30%が消波ブロックで覆われている。消波ブロックは、波や潮流の力を分散させて海岸浸食を最小限に抑えるよう設計されていますが、その大きなサイズと相互に組み合わさった構造により、隙間にプラスチックごみが溜まりやすくなっています。このような場所でのごみ拾いのは海ごみを減らすために重要なことだが、川も消波ブロックもアクセスやごみ拾いが難しいです。 OMNIデルタは河川や消波ブロックでのごみ拾いを身近なものにすることで、人々の海ごみ削減への行動を促すプロジェクトです。私たちはこの問題を解決するために、地域の方や自治体の監督のもとで河川での清掃活動を身近にするデザインに取り組んでいます。 #エコロジー_環境_サステイナビリティ #プロトタイプ #OMNIプロジェクト

bottom of page