プロジェクト Collins: 老人ホームの中の孤独感を対策する
- DLX Design Lab

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更新日:2 時間前

老人ホームの中の孤独感を対策する
2025年1月〜2025年4月
コラボレーター: AS PARTNERS Co., Ltd. (https://www.as-partners.co.jp/)
世界中で急速に進む高齢社会において、“孤独”は静かでありながら最も緊急な課題の一つです。特に、未婚者や離別者、健康状態の悪い人、世帯収入の低い人、社会との関わりが少ない人など、社会的・経済的に弱い立場にある人に孤独の傾向が強いと考えられています。1 また、令和6年の調査では約4割の人が「孤独感がある」と回答しているというデータもあります。2 日本では、2040年には人口の3人に1人が65歳以上という、3 超高齢社会を迎えようとしています。そこで、デザインはどのようにして高齢者に喜びや人・社会とのつながりを生み出すことができるでしょうか。
プロジェクトCollinsは、株式会社アズパートナーズとDLXデザインラボが協働し、高齢社会における孤独や介護業界の問題に取り組み、そして介護ケアの未来を探るプロジェクトとしてスタートしました。
背景とインスピレーション
日本の高齢化が進む中で、「高齢者はどのように日々の生活を送り、どのように人とのつながりを感じるか」という問いは、もはや未来の問題ではありません。
株式会社アズパートナーズは首都圏で25以上の介護付き老人ホームを運営しており、このような課題に日々直面していました。
プロジェクトCollinsでは、2040年の未来を視野に入れた「介護施設における入居者の孤独」をテーマに、孤独に対するアプローチを探索しました。未来志向のデザインアプローチを用いて、目の前の問題を超えた長期的な可能性や問題を想像しながら、今日のアイデアが明日の介護現場でも活かせることを目指しました。

プロセス リサーチなど
私たちは株式会社アズパートナーズが運営する介護付き有料老人ホーム「アズハイム」に訪問し、入居者やスタッフを10名を対象にヒアリングを実施しました。ヒアリングから入居者の生活や、孤独の実態、高齢社会が抱える課題について貴重な洞察を得ることができました。
ある入居者はこう語りました。
「覚悟して、大学時代の友人とご縁を切ろうと思って、ここに入居しました。」
「入居にあたって趣味も全部やめましたね。」
別の入居者は
「スタッフさんたちに散歩程度で煩わせるのは申し訳ない。」
と、介護に対する遠慮や罪悪感を感じることを教えてくださいました。
こうした声から見えてきたのは、施設に入るということが、単なる住まいの移動にとどまらず、人間関係や習慣、自立を失うことにもつながっているという現実です。また、孤独を和らげることは、人間関係の構築だけでなく、日常をより豊かにし、心身の健康を保ち、尊厳や帰属意識を取り戻すことでもあると学びました。
このようなリサーチや得られた洞察から、アズパートナーズ、DLXデザインラボ、東京大学の研究者がチームを組みアイデア出しのワークショップを実施しました。
介護の現場の知見×デザインアプローチ×研究・技術のコラボレーションを生かしたアイデアを得ることができました。

コンセプト
ワークショップで生まれたアイデアを5つのコンセプトにまとめ、株式会社アズパートナーズの経営陣にプレゼンテーションしました。自発的な笑顔を作るアクチュエータのような未来的なアイデアから、入居者の感情に寄り添う優しい化学センサーまで幅広いアイデアが生まれました。
このプロジェクトは、多様なバックグラウンドを持つ人々が協働し、未来に向けたデザインの課題に取り組む機会になりました。その中で、創造的な発想と介護の現実とのバランスの難しさや、入居者やスタッフから介護現場の生の声を聞き、介護スタッフとデザイナーとコラボレーションすることでアイデアに実用性と温かさが生まれるということを学びました。
さらに、介護施設を「衰えていく場所」ではなく、「引き続き人生送っていく場所」として捉え直す挑戦でもありました。未来志向のデザインを取り入れたことで、株式会社アズパートナーズにとっても、未来の介護のストーリーを描くきっかけとなり、この志は未来を拓く取り組みへと展開させています。
プロジェクトCollinsは、現在だけでなくこれからの孤独の課題に向き合うための意味のある小さな一歩となりました。













